答え
- リズム
幅の狭いQRS波が先行するP波を伴ってほぼ規則正しく打っていますが、3拍目からの2拍、胸部誘導に切り替わった直後の1拍および記録の最後の2拍は、幅が広く、早いタイミングで割り込んできています。これらの幅広の波形は早いタイミングで割り込んできていることから期外収縮と考えられ、幅が広く、先行するP波を伴っていないことから心室性期外収縮(2連発)と診断します。
幅の狭いQRS波に先行するP波はI、II、aVF誘導で陽性ですから、基本調律は正常洞調律。心拍数は60~70/分くらいでしょうか。 - P
II誘導でP波の幅が2目盛半(0.10秒)あまりとやや広めで、V1のP波が±の二相性になっていますから、左房負荷と診断します。II誘導でP波の高さは約1目盛(0.1mV)ほどで、正常範囲内ですから、右房負荷はありません。 - PQ
PQ間隔は約5目盛(0.20秒)ですから房室伝導は正常上限。 - QRS
先行するP波を伴っているQRS波は幅が約2目盛(0.08秒)で正常範囲内。aVR誘導以外では、IとV5V6でごく小さなQ波を認めますが、明らかな異常Q波はありません。胸部誘導でR波はV1→V4の順に徐々に高くなっていて、S波はV4→V6の順に徐々に浅くなっています。V1のS波の深さとV5のR波の高さの和(SV1+RV5)は14+30=44mm(4.4mV)と、35mmを超えていますから左室肥大と診断します。 - Axis
肢誘導でR波とS波の大きさの差が最も少ないのはaVL誘導ですから、おおよその電気軸は+60度。 - ST-T
明らかなST-T異常は無さそうです。 - QT
QT 時間の延長もなさそうです。
ということで、今回の心電図は心室性期外収縮(2連発)+左房負荷+左室肥大という診断になります。
心室性期外収縮については、派手な所見なのですぐに判ったと思いますが、左房負荷や左室肥大の所見を拾うことができましたか? 連発性の心室性期外収縮を認めた場合には、基礎心疾患の有無をチェックするための精密検査が必要となりますが、その前に、心電図に現れている付随所見を漏れなく押さえておくことが大切です。