答え

  1. リズム
    幅の狭い QRS 波が、先行する P 波を伴って規則正しく打っています。P 波は I、II、aVF で陽性ですから正常洞調律。心拍数は 78/分くらいでしょうか。
  2. P
    II 誘導で P 波の幅は 2 目盛(0.08秒)あまり、高さは約 1 目盛半(0.15mV)ほどです。いずれも正常範囲内ですから左房負荷や右房負荷はありません。
  3. PQ
    PQ 間隔は約 4 目盛(0.16秒)ですから房室伝導は正常。
  4. QRS
    QRS 波は幅が約 2 目盛(0.08秒)で正常範囲内。Q 波は aVR 誘導以外では、II、III、aVF と V5V6 で小さな Q 波を認めるのみで、異常 Q 波はありません。胸部誘導で R 波は V1→V4 にかけて徐々に高くなっていくはずですが、V3 が少しおかしいようです。R 波と S 波とのバランスを見ても V2V3 の順序が逆になっていて、V2 と V3 の電極が入れ違って装着されたものと考えられます。S 波は V4→V6 にかけて徐々に浅くなっています。
    V1 の S 波の深さと V5 の R 波の高さの和(SV1+RV5)は 6+15=21mm(2.1mV)ですから、左室肥大はありません。
  5. Axis
    肢誘導で R 波と S 波の大きさの差が最も少ないのは aVL 誘導ですから、おおよその電気軸は +60度。
  6. ST-T
    明らかな ST 低下や T 波の逆転はなさそうです。
  7. QT
    明らかな QT 時間の延長はなさそうです。

ということで、今回の心電図は V2V3 電極つけ間違いという診断になります。

電極の付け間違いは、心電図を見慣れている人ならパッと見てすぐに違和感を持って気づくはずです。年度替わりのこの時期、不慣れな新人が心電図を記録すると間違いがおこりやすいので気をつけたいものです。