答え

  1. 正常の幅の狭い QRS 波が先行する P 波を伴ってゆっくり規則正しく打っています。P 波は I、II、aVF で陽性ですから正常洞調律、心拍数は 40 / 分弱と遅めですから、洞性徐脈と診断します。
  2. P
    II 誘導の P 波は、幅が約 2 目盛( 0.08 秒)あまり、高さは約 1 目盛( 0.1mV )です。いずれも正常範囲内ですから左房負荷や右房負荷はありません。
  3. PQ
    PQ 時間は 4 目盛半( 0.18 秒)あまりですから房室伝導は正常。
  4. QRS
    QRS 波は幅が 2 目盛( 0.08 秒)で正常範囲内。aVR 誘導以外では I、aVL と V5、V6 でごく小さな Q 波を認める程度で、異常 Q 波はありません。胸部誘導で R 波は V1 ~ V3 にかけて徐々に高くなっていて、S 波は V3 ~ V6 にかけて徐々に浅くなっています。V1 の S 波の深さと V5 の R 波の高さの和( SV1 + RV5 )は 10 + 13 = 23 ( 2.3mV )ですから、左室肥大もありません。
  5. Axis
    肢誘導の QRS 波で、上向きと下向きの成分の大きさの差が最も少ないのは III 誘導ですから、おおよその電気軸は +30 度。
  6. ST-T明らかな ST-T の異常はなさそうです。
  7. QTQT 時間の延長もなさそうです。

ということで、今回の心電図は洞性徐脈という診断になります。

徐脈の定義は、以前は 60 / 分未満とするのが一般的でしたが、実際には安静時の心拍数が 60 / 分未満の人も多く、最近では 50 / 分未満とする意見が増えてきています。心電図の自動記録は、ほとんどの場合 10 秒間ですから、記録されている QRS 波が 8 拍であれば、その時の心拍数は 42 / 分( 7 拍 / 10 秒)以上 48 / 分( 8 拍 / 10 秒)未満ということになります。ですから 8 拍以下なら徐脈と覚えておくと便利です。