答え
- リズム
幅の狭い QRS 波が先行する P 波を伴ってほぼ規則正しく打っていますが、4 拍目の波形は早いタイミングで出現しており、期外収縮と考えられます。この波形は幅が広く先行する P 波を伴っていない事から、心室性期外収縮と診断します。P 波は I、II、aVF で陽性ですから基本調律は正常洞調律。心拍数は約 70/ 分弱。 - P
II 誘導の P 波は幅が 2 目盛半（ 0.10 秒）あまりとやや広めで、V1 の P 波でその後半にしっかりとした陰性の成分を認めていますから、左房負荷と診断します。II 誘導の P 波の高さは約 1 目盛（ 0.1mV ）ですから、右房負荷はありません。 - PQ
PQ 時間は約 7 目盛（ 0.28 秒）あまりと正常上限の 5 目盛（ 0.2 秒）を大きく超えていて、P と QRS が 1 : 1 で出ていますから、1 度房室ブロックと診断します。 - QRS
QRS 波は幅が約 2 目盛（ 0.08 秒）と正常範囲内。aVR 誘導以外では I と aVL にごく小さな Q 波を認める程度で、異常 Q 波はありません。胸部誘導で R 波は V1 ～ V3 にかけて徐々に高くなっていて、S 波は V3 ～ V6 にかけて浅くなっています。V1 の S 波の深さと V5 の R 波の高さの和 （ SV1 + RV5 ）は 12 + 13 = 25 （ 2.5mV ）くらいですから左室肥大もなさそうです。 - Axis
肢誘導の QRS 波で、上向きと下向きの成分の大きさの差が最も少ないのは II 誘導で、しかもマイナスの成分がやや大きめですから、おおよその電気軸は －30 度よりやや左。ということで左軸偏位と診断します。 - ST-T
明らかな ST-T の異常はなさそうです。 - QT
QT の延長や短縮もなさそうです。
ということで、今回の心電図は 心室性期外収縮 ＋ 左房負荷 ＋ 1度房室ブロック ＋ 左軸偏位 という診断になります。
今回はそれほど難しくなかったはずなのですが、すべての所見を正しくつけることができましたか？ 見落としのあった人は、もう一度心電図を見直し、この機会に面倒がらず丁寧に所見を拾う癖をつけるようにしてください。