答え

  1. リズム
    正常の幅の QRS 波が先行する P 波を伴ってほぼ規則正しく打っています。P 波は I、II、aVF で陽性ですから正常洞調律ですが、心拍数が極端に遅く約 35/ 分くらいですから洞性徐脈と診断します。
  2. P
    II 誘導で P 波の幅は 2 目盛半( 0.10 秒)あまりと幅が広く、V1 の P 波をみると後半が陰性になっていますから、左房負荷と診断します。II 誘導で P 波の高さは約 2 目盛半( 0.20mV )弱ですから明らかな右房負荷はなさそうです。
  3. PQ
    PQ 間隔は約 4 目盛( 0.16 秒)ですから房室伝導は正常。
  4. QRS
    QRS 波は幅が約 2 目盛( 0.08 秒)。Q 波は I、aVL、V5~V6 誘導でごく小さなものを認める程度で明らかな異常 Q 波はありません。胸部誘導で R 波は V1~V4 にかけて徐々に高くなっていて、S 波は V4~V6 にかけて徐々に浅くなっています。V1 の S 波の深さと V5 の R 波の高さの和( SV1+RV5 )は 7+26=33( 3.3mV )ですから左室肥大もありません。
  5. Axis
    肢誘導で QRS 波の上向きと下向きの成分の大きさの差が最も少ないのは aVF 誘導ですから、おおよその電気軸は ±0 度。
  6. ST-T
    明らかな ST-T 異常はなさそうです。
  7. QT
    QT 時間は少し長そうですが、心拍数で補正すると明らかな延長はなさそうです。

    ということで、今回の心電図は 洞性徐脈 + 左房負荷 という診断になります。今回の心電図は診断に困る所がなかったのではないかと思います。極端な徐脈に気をとられていると左房負荷を見落としてしまう事がありますから注意が必要です。