ヒント

  1. リズム
    幅の広いQRS波が何となく不規則に打っています。よくみるとP波の数とQRS波の数が合いません。1心拍ごとにPQ間隔が延長して行き、PQ時間が長くなってきたところでQRS波が脱落しているようです。ところどころでP波だけが出ていて、それに対応するQRS波が脱落しています。P波そのものはI、II、aVFで陽性で、80/分弱の速さでほぼ規則正しく出ているようです。
  2. Ｐ
    II 誘導でのP波の幅は2目盛（0.08秒）余り、高さは約１目盛半（0.15mV）。
  3. PQ
    PQ間隔は一定ではなく、1心拍ごとに徐々に長くなっており、4～10目盛（0.16～0.40秒）くらいでしょうか。一部P波だけが出ていて、それに続くQRS波がないところがあります。
  4. QRS
    QRS波は幅が約４目盛（0.16秒）ほどで、正常上限の0.10秒よりかなり長くなっています。Ｖ1のQRS波をみるとrsR’パターンを呈しており、このR’のためにQRS幅が広くなっているようです。肢誘導のQRS波も、その後半で幅が広くなっているのが判ります。V5のR波の高さは21目盛（2.1mV）程度。
  5. Axis
    肢誘導でR波とS波の大きさの差が最も少ないのはaVR誘導です。

    今回の心電図も、QRS幅が正常上限を超えていることから心室の興奮が異常（正常の刺激伝導系を逸脱した興奮）と判断できますので、原則としてST-TやQTに関しては所見を拾っても意味がありません。