ヒント

  1. リズム
    やや幅の広いQRS波が、先行するP波を伴ってほぼ規則正しく打っています。 P波は I、II、aVFで陽性ですから正常洞調律と考えられます。心拍数は60/分前後。
  2. P
    II 誘導でのP波の幅は2目盛（0.08秒）強、高さは1目盛（0.10mV）です。
  3. PQ
    PQ間隔は３目盛半（0.14秒）くらいでしょうか。
  4. QRS
    QRS波は幅が約３目盛半（0.14秒）あり、正常上限の0.10秒よりかなり長くなっています。Ｖ1のQRS波をみるとrsR’パターンを呈しており、このR’のためにQRS幅が広くなっているようです。肢誘導（特にI、II、aVLでよく判ります）のQRS波も、その後半で幅が広くなっているのが判ります。V5のR波の高さは９目盛（0.9mV）程度。
  5. Axis
    II とaVR誘導でR波とS波の大きさの差が最も少なくなっています。

    今回の心電図も、QRS幅が正常上限を超えていることから、心室の興奮が異常（正常の刺激伝導系を逸脱した興奮）と判断できますので、原則としてST-TやQTに関しては所見を拾っても無駄になります。