間接訓練にはどのようなものがあるのでしょうか?

解説:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野 戸原玄(とはら はるか)

はじめに
 前回お示ししましたように、間接訓練とは食べ物を使わない訓練をさします。多数の方法がありますが、障害と訓練方法は1対1対応というわけではありません(図1、2)。それぞれを覚えようとするよりも、どのような意味合いがあるのかを認識するほうが覚えやすいと思います。図1、2に示した訓練法はたくさんありますが、そのなかで代表的なもののみを以下に説明してゆきます。

摂食・嚥下障害の援助

摂食・嚥下障害の援助

1.口唇・頬の進展マッサージ(図3)
 唇や頬が固くて閉じない場合やまたそれが原因で唾液が口から出てしまう場合などに用います。唇は指を巻き込んで内側に伸ばすのがコツです。頬は内から外へとのばします。

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2.舌・口腔周囲の可動域訓練(図4)
 ある程度自分で舌や口唇が動かせるが、動く範囲が少ない場合には可動域訓練を行います。図のように舌や口腔周囲を各方向に対して最大限に動かさせます。舌がよく動かない場合には、ガーゼで舌をつかんで(強くつかむと痛いため舌が緊張するので、弱い力で把持する)前に引き出すようにします。

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3.舌・口腔周囲の筋力負荷訓練(図5)
 主に舌や口腔周囲をある程度動かせるが、特定の方向の動きが弱い場合などに用います。舌の筋力負荷訓練にはスプーンを舌で押し返してもらうように、口唇の筋力訓練はストローやボタンに紐をつけたものをくわえさせて引く力に抵抗させるように、頬の筋力訓練は頬を膨らませて指で圧迫し、口から息がもれないように抵抗させます。

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4.構音訓練
 同じ器官を用いることから、嚥下訓練に構音訓練を利用します。よく「パタカ」と言いますが、「パ」は口唇が閉じる、「タ」は舌の前方が口蓋と接する、「カ」は舌の後方が口蓋と接することによってできる音です。それらのうちうまく発音できない音を訓練します。まずは“パ”などの単音を言わせ、続いて“パパパ”や“カカカ”の単音の繰り返し、さらに“パタカ、パタカ”の単語、最後は文章を言わせるという流れで行います。鼻咽腔閉鎖が悪い場合は「マナガ」という音に近くなりますのでいずれも鼻咽腔閉鎖訓練にも利用できます。


5.ブローイング(図6)

 声が鼻から抜ける場合や、食べ物が鼻から漏れる場合などに主として用いる訓練です。水をはったコップをストローで吹く、笛を吹くなど方法に決まりはありません。もちろん、唇が閉じない場合にはうまく吹けないので、口唇閉鎖の訓練にもなります。この際吹けた時間を測定しておくことで、次回の訓練の際の目標設定が行いやすくなります。

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6.リラクセーション(嚥下体操)(図7)
 リラクセーション(嚥下体操)はどちらかというと“訓練”という積極的な意味合いよりも、ある程度の機能が保たれている方に対しての、“準備体操”的な意味合いで用いられることが多いものです。嚥下に関連する筋肉を一通り動かすために、食べる前の準備体操として用いるのが効果的です。

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7.Pushing Exercise(図8)
 押し運動とも呼ばれます。声がかすれている(気息性嗄声)、声が異常に小さい、発声できる時間が異常に短いなどの所見は声門閉鎖機能の不全を疑わせます。声帯閉鎖は嚥下時の気道防御のみならず、強い咳を出すためにも必要な機能です。椅子や机を押す(または引く)と同時に「アー」、「エイ」など大きな声を出してもらいます。

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8.Thermal Stimulation(図9)
 嚥下訓練として最も有名なものがこの訓練ではないでしょうか。アイスマッサージともいいます。冷たい刺激で嚥下反射を誘発させるのがこの訓練の目的です。綿棒に冷水をつけてもよいですが、水をつけた綿棒を事前に凍らせておいて使用してもかまいません。また嘔吐反射がない限り、刺激する場所にはあまりこだわる必要はありません。最初はどこを刺激したらうまく嚥下反射が起こるか探るようなつもりで行うのがよいでしょう。

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9.K-point刺激法(図10)
 仮性球麻痺患者に対して有用であるとされているのが、このK-point刺激法です。臼後三角最後部やや後方の内側を圧刺激すると、開口反射、咀嚼様運動に続いて嚥下反射が誘発されるとされています。嚥下訓練としては嚥下反射誘発目的で行いますが、口腔ケアを行う際になかなか口をあいてくれない場合に試してみてもよいでしょう。

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10.Shaker Exercise (図11)
 頭部挙上訓練とも言います。喉頭挙上筋群を鍛えることにより食道入口部の開きを改善するのが目的です。完全な臥位で行えない場合にはギャッジをあげることにより負荷を下げてあげるとよいでしょう。

摂食・嚥下障害の援助

まとめ
 以上、数多くの訓練がありますが、代表的なもののみ説明いたしました。それぞれの患者さんに対して、機能障害が能力障害を引き起こしているかを考慮の上、適用するようにしてください。

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