摂食・嚥下障害はどうやって検査するのですか?

解説:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野 戸原玄(とはら はるか)

1.検査方法
 現在よく用いられている摂食・嚥下障害の検査方法は大きく二つあります。ひとつはVF、もうひとつはVEと呼ばれている方法です(表1、図1)。

摂食・嚥下障害の援助
摂食・嚥下障害の援助

 VFは透視しながら造影剤を含んだ食品を食べてもらい、誤嚥や咽頭残留があるかどうか、またそれらの原因がどこにあるのか(第4、5、6章を参照してみてください)を探る検査です。誤嚥は図2の左写真のように見えます。VEは鼻咽腔ファイバーを用いて咽喉頭部を観察する方法で、VFと同様に誤嚥や咽頭残留があるかどうかだけでなく、それらの原因がどこにあるのかを判断する検査です。誤嚥すると図2の右写真のように見えます。 なお、図2の右写真は在宅にVEを持ち込んで検査した場面です。テーブルをひとつ借りることができれば、スペース的には十分セッティングが可能です。

摂食・嚥下障害の援助

2.検査時のナースの役割
  実際に皆さんが検査者となることはあまりありませんが、検査時にとっていただきたい役割がいくつかあります(表2)。

摂食・嚥下障害の援助

 まず、検査のときに患者さんが日常的にどのような様子で摂食しているのか、またはどのような問題点があるのかを検査者に正確に伝えることが大切です。特にVFの場合などでは、日常とはだいぶ異なる状況で摂食することになります。普段の状態が再現できなければ、極端に言うと検査した意味があまりなくなってしまうことがあります。なるべく、検査には同席して、検査者と相談しながら検査を進めていくようにすると、よりよい検査ができることとなります。
 次いで、検査の準備と後片付けが必要です。VEの場合は実際の食物を使って検査できるので機材のセッティングのみが必要ですが、VFの場合には検査食品を事前に作成しておく必要があります。いくつかの状態の食品を作っておくことで検査がやりやすくなります。特に決まっているわけではありませんが、我々が使用している検査食品を例に挙げておきます(表3、図3)。

摂食・嚥下障害の援助
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 また、検査結果がでたら、それを日常的な対応に活かしていかなければなりません。訓練的な対応は後述しますので、ここでは大まかな結果の解釈のしかただけを覚えてください(表4)。

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 まず、経口摂取が可能と判断されるレベルは、安全、確実かつ現実的な食べ物、食べ方、量があると判断できる場合です。例えば、一口に対してごく少量のゼリーをリクライニングの姿勢で食べれば安全と判断された患者さんがいたとします。この場合、栄養をすべて経口から補うことは現実的であるとは考えづらくなります。
 次いで、安全でも確実ではない場合(時々誤嚥するなど)、確実であっても先ほど示したように現実的でない場合には直接訓練(栄養としてではなく食べる練習のレベル)可能なレベルと判断します。経口摂取に何らかの不安があるというのは、1年間まったく口から食べていない人に検査を行って、結果が非常に良好であったとします。このような場合に経管栄養をいきなり抜去するわけにもいきませんので、徐々に経口摂取の量を増やしていくようにします。
 他に方法がないというレベルは、食べ物を使わないで訓練を長い間継続していても、なかなか訓練効果が出てこない場合などに、ある程度の誤嚥を覚悟で食べる練習を試験的に行ってみるような場合を指します。
 検査しても安全な食べ物や食べ方、量が見つからなければ基本的に直接訓練は不可とします。

3.VFとVEの差異
 いずれの検査も非常に有効な検査ではあるものの、それぞれに特徴があります(表5)。VEの利点は、ベッドサイドにても利用可能で被爆がなく、実際の食べ物を使えることがあげられます。また、VFと同程度に誤嚥を検出できると報告されています。しかし、咽喉頭部しか観察できずに嚥下反射中は咽頭が収縮するために視野がまったくなくなってしまします。つまり、第4、5章で紹介したような舌骨の動きや食道の開きを観察することができないということです。もちろん検査の不快感もあげられます。
  これらの検査はそれぞれの利点、欠点があるということを押さえておいてください。

摂食・嚥下障害の援助

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