スワン・ガンツ(SG)・カテーテル

解説:西新井ハートセンター病院 白坂友美(感染管理認定看護師)

 心拍出量の決定因子を2回目から5回目にかけてお話してきました。今回は、スワン・ガンツカテーテルについてお話します。

1.スワン・ガンツカテーテルとは・・・
 
観血的に右心系にカテーテルを挿入し、右房圧、右室圧、肺動脈圧、肺動脈楔入圧の他、心拍出量、混合静脈血酸素飽和度などを測定し、心機能の評価や治療方針の決定のために用いられています(図1)。

スワン・ガンツ(SG)カテーテル

2.指標
  右房圧は循環血液量(前負荷)の指標、肺動脈圧は血管抵抗・右室の後負荷の指標、肺動脈楔入圧はバルーンを膨らませ肺動脈を閉塞させる事で、右室からの血流の影響を受けることなく、肺を通して左房の圧を反映させるため、左房圧の指標となります(図2)。
  基準値(図3)を参考とし、心不全の評価および治療を行います。

スワン・ガンツ(SG)カテーテル
スワン・ガンツ(SG)カテーテル

3.心拍出量/心係数
 スワン・ガンツカテーテルのサーマル・フィラメントで加温され、サーミスターの血液温度の変化をとらえ、血液量が多ければ温度変化が少なく、血液量が少なければ温度変化が大きくなる原理を用いて心拍出量を測定します。
  心拍出量(CO ; Cardiac Output)は、1分間に拍出される血液量で、心係数(CI ; Cardiac Index)は、体格の差を補正するために心拍出量を体表面積で割ったものです。
  例えば、Aさん 身長:150cm、体重:50Kg、体表面積:1.48㎡ Bさん 身長:185cm、体重:95Kg、体表面積:2.19㎡の人がいたとします。同じ心拍出量4.5L/分だとしても、Aさんは身体が小さく、Bさんは身体が大きいため、本当にBさんの体格に必要な血液量が拍出されているとは限りません。体表面積で補正した心係数を求めると、Aさんは3.04L/分/ ㎡、Bさんは2.05L/分/ ㎡となり、やはりBさんにとっては少ない心拍出量となります。
  次の4でお話する「フォレスター(Forrester)分類」にあてはめ、心不全の程度を把握しやすくするために、心係数で申し送りをすると把握しやすいと思います。

4.フォレスター(Forrester)分類
  フォレスター分類はスワン・ガンツカテーテルの結果を用いて、心不全の程度を把握し、循環作動薬や補液などを用いて治療方針を決定するために用いられています。縦軸に心拍出の状態である心係数、横軸に左房の前負荷にあたる肺動脈楔入圧をとります。心係数 2.2 L/分/ ㎡ 以上、肺動脈楔入圧 18mmHg 以下である Subset.I を目標に血行動態をコントロールします(図4)。

スワン・ガンツ(SG)カテーテル

 Subset.II は、心係数は良好、前負荷が多いため利尿薬または血管拡張薬で前負荷を低下させ、Subset.I になるようにコントロールします。
 Subset.III は、心係数が低値のため、前負荷を増やすための補液を行うか、強心薬を使用して心係数をあげSubset.I になるようにコントロールします。
 Subset.Ⅳ は、心係数が低く前負荷も多いため、強心薬や利尿薬または血管拡張薬を使用して、心係数をあげると共に前負荷を下げ Subset.I になるようにコントロールします。薬剤でのコントロールが困難ならば、補助循環装置である大動脈バルーンパンピングが必要となるかもしれません。Subset.Ⅳ は重症心不全状態であり、致死率も高くなります。

スワン・ガンツ(SG)カテーテル

《症例1》
フォレスター分類にあてはめると、心係数 2.8 L/分/ ㎡、肺動脈楔入圧5 mmHgなので、Subset.I に当てはまります。

〈症例2》
フォレスター分類にあてはめると、心係数 1.8 L/分/ ㎡、肺動脈楔入圧 19mmHg なので、Subset.Ⅳ に当てはまります。この症例(図5)では、まず強心薬であるアドレナリンを増量し、利尿剤のラシックスを増量しました。

スワン・ガンツ(SG)カテーテル

 このように、スワン・ガンツカテーテルの結果をもとに、患者の心臓の状態をイメージする訓練を行うと、医師の治療内容も把握できてくるかと思いますので、日頃のバイタル測定で行ってみて下さい。
  次回は、スワン・ガンツカテーテルデータの一つである混合静脈血酸素飽和度についてお話します。

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